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無生殖主義者としての私の夢

無生殖主義者として私がある程度満足して存在を終了するためには何が達成されている必要があると考えられるのか、つまり私の夢は何かというお話をします。


あらゆる製品とサービスのヴィーガン認証表示が義務化されること

動物に直接的な苦痛をもたらずに提供される製品は、その提供者が機関に申請して審査を受ければヴィーガン認証を受けられる、というのが現状です。

しかし理想的なのは、ヴィーガン/非ヴィーガンの明示があらゆる製品やサービスについて義務付けられ、消費者がそれらを選んで購入するその場で、何の外部サービスの手を借りることもなく倫理的に正しい選択をできるようになることです。

この夢は必ずしも畜産全廃を志向したり前提としたりするものではありませんから、このブログポストで紹介する他の夢と比べて実現可能性の高いものなのではないかと思います。


畜産全廃に向けた具体的な政策が動き始めること

ヒトの中の最大苦感者(※1)と畜産動物の中の最大苦感者の苦痛の程度を比較した場合、どちらが最大苦感者となるのかは分かりません。

しかし、ヒトと畜産動物という2つのカテゴリーを比べれば、畜産動物がヒトの約2倍の個体数を持ちます――すなわち、苦感能力を持つ意識が経験し得る最大の苦痛を100とした場合に95を超えるような生涯を「極端に苦痛の多い生涯」と定義し、ある一個体がそのような生涯を送る可能性が0.001%であると仮定するならば、極端に苦痛の多い生涯を送る個体が発生する確率はヒトよりも畜産動物において高くなる、ということが確率論的には言えます。

「X個のサイコロを振った時、少なくとも1つのサイコロが6の目を出す確率を求めよ」と同じ問題です。

Xが大きくなればなるほど、そのうち1つのサイコロが6の目を出す確率は高まります。


※1:最大苦感者(maximum sufferer)は最大の苦痛を経験している者。苦痛主義において倫理的配慮を最初に向けられるべきとされる者。


そもそも畜産動物は一般的なヒトと違って、倫理的配慮を与えられる必要のない者として、多大な苦痛を経験しやすい環境に故意に存在させられます。

ですから畜産動物が(カテゴリーとして)ヒトよりも優先的な扱いを受けることはなおさら妥当でしょう。


ヒトの生殖の倫理的な悪性について人類が合意に達するのには、きっと畜産よりも時間がかかります。

ですからこれは、倫理的に(もう少し詳しく言えば苦痛主義的に)より重要である可能性が高いだけではなく、実現可能性でもヒトの生殖の完全停止を大きく上回るものだと私は思います。


5年ごとに開催される Global Antinatalist Festival の実現

放牧場のような大きな草原の中央にステージがあり、その周りに無生殖主義関連の団体等がブースを出展し、参加者が宿泊するテントが点在、丸48時間のイベント期間中に様々な催しが行われ、無生殖主義者が互いの無生殖主義者としての存在と団結/友好を祝う――という景色を見たいと思い始めたのがいつだったのか、もう私は覚えていません。

無生殖主義者がオンライン/オフラインともに参加できる国際的なイベントが5年ごとに開催されることが私の夢です。

当初は10年ごとの開催を考えていたのですが、この話を Twitter でしたところ「10年はちょっと長すぎる、5年がいい」という意見を聞きました。

今ではそれに納得しています。

10年ごとの開催では、一生のうちに数回参加できればかなり幸運な方でしょうからね。


私の知覚内容だけが実在する唯一の世界であると判明すること

まず実現することはないだろうと思いますが、夢は見るだけならタダですからね。


他者を助けるために私が頑張ってやってきたことが実は全て不要だった(なぜなら他者がそもそもいなかったから)、と判明するのが一番の理想です。

しかしそのためには、自分が他者に「なる」ことによってその他者に苦感能力があるか否かを知ることのできる能力が私にあるということを私が確実に知っており、そのうえでこの世界には私がなることのできる他者がいなかった――なぜなら私の知覚内容だけが唯一実在する世界であり、私の外に世界はないから――と私が知ることができる必要があります。

私とこの夢との間には、私が自分の意志で越えることのできないハードルが複数あります。

それに読者の皆さんから見れば、私がこの夢を叶えることができないのは考えるまでもなく明らかです。

読者の皆さんは皆さんにとって自明にここにいて、皆さんの知覚内容という世界を生きています。

読者の皆さんから見れば、その存在を疑われるべきなのは私の方です。

私が実在してこの夢を持っているのだとひとまず仮定しても、読者の皆さんはご自身の知覚内容という世界をすでに生きているのですから、私の知覚内容は実在する唯一の世界ではありません。

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